今日は大学院の授業で、プロフェッサーアーキテクトの川島範久さんのお話をきく。
そして、ゲスト聴講生として、名古屋で懇意にしている建築家のナノメートルアーキテクチャーさんにご参加いただく。
川島さんは、とても面白い建築家。
キャリアだけいうと、東大の計画系研究室→修士で環境系→日建設計設計部・山梨班→海外留学→独立して東工大助教→博士を環境系で取得→明治大講師。
僕は自分のことを雑種と表現するけど、この人の多様性もすごい。
なので、一回話を聞いてみたいなぁ、いつ、大学に来てもらおうか...と思っていたところ、
オンラインの利点を生かした授業の交換の依頼が。
ラッキー。
ということで、お話いただきました。
自分自身、環境工学の研究室で博士を取っているので、環境的文脈は、複雑な計算式が出てこない限りは、だいたいわかる。
川島さんのレクチャは、環境を、設備的ではなく、暮らしの側から捉えていた点に特徴がある。
学生はレクチャをみて、
あ、解析とかやってる。すごい。でも自分はできない。って感じたと思う。
でも、川島さんは、デザインツールとして環境シミュレーションを使っているだけで、何も難しいことはしていない。
快適性の話も、温度と湿度という、環境の基本的な2指標のグラフしか提示しておらず、
風速・放射を考慮したpmvでも、met・cloを反映させたSET*の話もしていない。
環境工学の話ではなく、環境スタディの話をしてくれていたのが、印象的であった。
ナノ・野中さんの、難しいことはしていない、という声は、とても適切。
川島さんがトライしていたのは、
「不快ではない」を提供するのではなく、
「快適である」を提供する空間概念であり、
居住者の積極的選択による外部環境の快適性の享受と、不快を除く選択性の提供という、
建築を通した、ライフスタイルの提供であった。
これ、意外に、両立させるのがうまい建築家も、環境工学者もいない、絶妙なライン。
だし、僕が目指している世界でもあった。
施主に現代の楽しい暮らし方を提供するとともに、
そこから先の、地域・地球環境の向上を視野に入れたデザインをしている点に、深みがある。
設計は、同時に、極めて、図式的でもあった。
普段も凛とした(剣道部か弓道部かな?)立ち姿の川島さんは、きっと、自身の美的感覚が固まっているのであろう。
諸条件を統括する図式に建築デザインの妙を見出している姿は、
環境スタディの理論武装なしでも戦える内部の美しさを内包していた。
いくつか、設計上の気になる点(ガルバ内部の熱の影響や冷蔵庫位置など)はあったが、質問前に時間切れ。
ファシリテーター力鍛えねば。
ということで、非常に楽しいレクチャをいただきました。
その後は明治大へ。オンラインで。
地形と災害というテーマのものと、博士論文や活動で蓄積して来たお話を。
都会の学生が楽しんで聞いてくれてたらいいな、と。
そんな月曜日。
今週はディスカッション週。
ここからも楽しみます。
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