昨日は鶴舞のリノベ作品をみました。 設計者は寺嶋利治さんと村越怜さん。 寺嶋さんは名古屋市立大の助教で、東工大系列久野研究室OB。いろいろとシンパシーを感じる方です。村越さんははじめましてでしたが、東北大からはりゅウッドスタジオという親近感のわくキャリア。
さて、作品。
人の気配を感じられつつ、でも主として、若々しい生活の美意識を楽しむ空間。1つ1つの素材を丁寧に選択し、陰影の効いた空間を実現していた。
壁が部屋をつくるのではなく面が空間を規定している、という思想が表現されており、建築作品としての矜持を強く感じた。若い美意識の高い施主と、ギラギラした若手建築家の共作でエネルギッシュだな、と。既存の要素とインフィル、什器、そして色味で時代の経年変化を現代につなぎつつ、彩色を抑えた彩り豊かな空間が実現されていた。
建築家としての思想表現に満ちたオープンハウスは、丁寧で優しい物腰の寺嶋さんの内なる思いが前面にでてて、とても共感したし襟を正された。
同時に感じたのは、建築家としての言語が多く、生活者の目線が弱かった印象。面に寄り添うと居場所や風景が感じられる優しさは内包されていただけに少し物足りなさも。おそらくは建築家向けという機会と空間の質から外したのだと思うが。
その後西洋美術館に行き、コルビュジェの空間を堪能したのだが、3つ以上の空間をつなぐのは基本、という久野さんの批評が頭の中で反芻された。
腕1つで建築家としての戦いを進む寺嶋さんはさながらノーガード戦法。自分も頑張らなきゃなぁ、と。